微熱に疼く慕情
第1章 【渇いた心】
「本当に大丈夫ですから」と極上スマイルで受け流そうとしても「それじゃ俺の気が済まないんだ」ってそっちの価値観押し付けられてもねぇ……
もしかして絶対引かない人なのかな
割と目立ってるし、此処は穏便な方を取ろうかな
結局、押し問答するよりマシだとお言葉に甘えて同じのをネットで探そうとしたら「もう仕事終わったよね?見に行こう」ってその場から連れ去られ一緒に退勤してしまった
慌てて上着羽織ってエレベーターに乗り込む
「ちょうど僕もパソコン用の眼鏡買い替えようと思ってて……良い眼鏡屋さんがあるから一緒にどうかなって」
「あの、すみません、あれ、だて眼鏡なんですよ、だから本当にお気遣いなく…」
周りがまた見てるよ、この人もきっと人気がある人なんだろうなって一目でわかるし
ちょっと強引なところはいけ好かないけど……
歩くの早いし、せっかちだな
え、タクシー?ウソ……
「乗って」って……
行き先告げて走り出した車内
改めて謝罪を受ける……何なの、この人
「ていうか、びっくりした……完全に俺の不注意だけど、眼鏡取れた橘さん初めて見てドキドキした〜!」
え?え?キャラ変!?
チャラい?チャラ男?
勝手にはしゃいでる
私は、ついて行けずに愛想笑い
「眼鏡掛けるのと掛けないのでは全然印象が違うね、でも何でだて眼鏡?」
「あ〜、えっと、男除けです」
「えっ?あ〜なるほど」
「先輩、そこは笑うとこですよ」
「え、いや、橘さんならそういうのもアリだなと思って」
「ウソですウソです、仕事が…捗るから?ですかね」
15分くらいの距離が苦痛には感じなかった
すぐに会話が生まれて…というか、話題を振ってくださる
初めて話してみて、テンポの良い会話のラリーが出来た
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