
微熱に疼く慕情
第10章 【囚われない愛と持続的な関係】
「ダメ、帰らないで」
握り締めた手の、甲にキスしてそう言われた
鼻の奥がツンとして再び俯いてしまった
「一華?」って優しい声が溢れさせる
「不機嫌な明島さんは……キライ」
「本当にごめん、いつになく緊張してる」
「緊張?何で?」
「まぁ……着いたらわかる」
「……?」
鍵を開けて通された部屋
入った瞬間から目を奪われます
え…?なに……コレ……
廊下にはキャンドルが灯って道を作ってる
「奥の部屋、行ってごらん」
「は、はい」
足を進めて扉を開けると……絶句です
フリーズして動けない
後ろから明島さんに肩を抱かれて
「近くで見てよ」ってもう視界が揺らいで仕方ないです
だって、全然ガラじゃないもん
ベッドやその周りに可愛らしい風船で飾り付けしてある
誕生日でも何でもない日にこんなサプライズ
シーツの上、ピンク色の花びらで大きくハートになってる
真ん中に何か置いてあるなって思ったら
真っ赤なバラの花束を持った明島さんが隣に立っていたの
「いつも急でごめん、でも俺はずっと前からこうしようって思ってた、俺にとって、一華は全てだよ、コレ、受け取ってくれる?」
差し出された花束は大きくて100本はありそう
凄く良い匂い
受け取ったら嬉しそう
ベッドの真ん中に置いてあったモノを取った時にピンときてしまった
あ………コレ、言われちゃうやつだ
照れた表情の明島さんが、目の前で跪き、指輪を見せてきた
うわ……きっとめちゃくちゃ高いやつだ
気合い入ってるのがわかる
どうしよう、こんなのまだ心の準備が整ってないよ
「一華、俺と人生歩いてほしい、結婚してください」
誰もが一度は憧れる、リングケースをパカッとされるやつだ……
