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微熱に疼く慕情
第2章 【動き出す熱情】
「本当に経理部に取りに行かなくて良いの?」
「はい、もう大丈夫です」
何とか誤魔化して会社の正面玄関まで見送られた
良かった、誰にも会わなくて
警備のおじさんだけだった、見られたの
急いで帰って、スーパー寄って、無事に帰宅
ドッと疲れが出てきて、ベッドにダイブしてしまった
どれくらい寝ただろう
睡魔に襲われ、倒れるように眠った私
頭の中はまだごちゃごちゃしてる
全然スッキリしない
洗濯を回したところで着信が掛かってきた
案の定、大智だ
仕事終わったみたい
会うの面倒くさいな……
もう着替えるの嫌だな
来る?良いけど……
鏡に映る自分を見て
“爛れてるな〜”と我ながら思う
朝帰りして、会社で付き合ってもない先輩とキスして、今から家に元カレが来るってどんな世界よ
しっかりしろ!と言いたいがもう後の祭り
インターホンが鳴って出ると、スーツ姿の元カレが普通に家に上がり込んで、コンビニで買ってきたという缶ビールと私の好きなコンビニスイーツをドンピシャで当ててくる愉快さに呆れて物が言えないわ
「めっちゃ久しぶりに一華のオフモード見れた」
誰があんた相手にお洒落して待つかっての
「これメンズもある?」って私の着てるスウェットのセットアップを指差す
さぁ?あるんじゃない?
確かユニセックスだった気がする
「お、あったあった」って早速サイト見てるし
「お揃いとかやめてよ」
「買って、此処に置いとけば良いんじゃない?」
「は?今日でこの家来るの最後だからね」
「やめて、冷たくしないで」
「虫唾が走る」
「コレ買ってきたから許してよ」
「それは、食べるけどさ…」
「ぷはっ!絶対好きだと思った、当たりでしょ?」
「………うん」
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