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O……tout……o…

第1章 おとうと

 16

 それって8歳のかわいいしんちゃんであって、そしてこの今の感情とは違うわけで…
 わたしはどう返し、応えればわからない。

 だけど、一つだけ分かっている事があった…
 それは太腿にさっきから当たっている固く、脈打っているアレの熱さであり、その熱さは、わたしに向いている想いの熱さであるということを。

 そしてその太腿と瞳の熱さに応えかね…
 思わず顔を横に向ける。

 すると…
 しんちゃんが左手に握り締めているピンク色のパンティが目に飛び込んできた。

 あ…
 思わずその手を見つめてしまう。

「いや、こ、これは…
 あ、そ、その、いや、あ、あぁ…」
 そんなわたしの視線に慌てて言い淀む。

『お兄ちゃんなんて舐めてんのよぉ…』
『ウチの弟なんて被って匂い嗅いでるしぃ』
 再び、そんな先輩の戯言が脳裏に浮かんでくる。

 そしてまた再び…
『普通の男なら、皆、ヤってるのよ…』
『ヤらずにはいられないらしいのよ…』
 そんな言葉もグルグルと巡ってきていた。

「わ、わたしが…す、好きなんだ?…」
 それは、無意識の言葉であった。
 
 きっと、しんちゃんの目と、アレの熱さの熱量が、わたしの強張っている心をゆっくりと、溶かし、融かしてきたのだろう…
 思わずそう囁いていた。


「え、あ、うん、す、好き、大好き……」
「だから、ソレ、その…」
 その掴んでいるパンティを見つめ…

「あ、あぁ、ご、ごめんなさい」
 すると慌てて…
 泣きそうな目で…
 声で…
 口調で…
 言ってくる。

 そして…

「あ、あーちゃんを感じたくて…」
 そう続けて言ってきた。

「わ、わたしを感じたくて?」

「…………」
 黙って頷く。

 よかった…

 この兄弟が、いや、思春期の年頃の男兄弟が、姉、妹の下着に興味が、あったり、悪戯したりする、という事が決して異常な行為ではなく、いや、年頃の男には比較的普通な行為、行動、衝動であるのだ…
 と、事前に訊いていて本当に良かった。

 本当に良かった…

 じゃなければわたしはこの弟を嫌悪し、拒否、いや、拒絶してしまい、今後の日常生活に多大な影響を受けてしまうところであった。

 本当に良かった…
 それ位にあの時のわたしは純粋で、純情で…
 いや、そんな性知識なんて無知で、無垢な女、女子であったから。




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