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Change (チェンジ)

第1章 Change (チェンジ)

 5

「ぁ…た、確かに………」
 そう今、冷静に思い返せばキスがぎごちなかったし、初めて手を触れた、握ったのは映画館だった…
 そして握り返すことなく指先を伸ばしたままだった気がする。

「あ、で、でも…
 キスしたし、抱かせてくれたし…」
 そう、オレ自身も舐めてもくれた…

「うん、それは、季が遼くんのことを本気で好きだったから…
 うん、そう云ってたし…でも……」
「でも?」
「でもやっぱり、セックスが無理だって、半月位前にわたしに泣きついてきたのよ…」

「は、半月位前…」
 それはつまりは、前、前々回の逢瀬…
「やっぱり無理だって…
 望にあげるって泣いてきた…」
「え、オレにあげるって?」
「うん、あげるってさぁ…」
 円満な別れを望に頼むんじゃないのか?…
 と、ふと、動揺しながらも、そんな疑惑が浮かんだのだ。

「そう、わたしに遼くんをあげる、くれるんだってさぁ…」
 すると望がそう囁きながら、目を光らせ、いや、濡らしてきた様に感じ見れる。

「オレをくれるって?」
「うん、そう、くれるの」

 それはいったい?…

「うんとねぇ、あのねぇ……」
 すると望が話を始めてくる。

 ……あのねぇ、ほら、研修会の後にさぁ、偶然、居酒屋でバッタリ会ったじゃん…
 あれはねぇ、わたしだったのよ…
 ううん、正確には途中からわたしにチェンジしたのよ…
 あの夜は、実はね、わたしも違う席で友達と飲んでいたのね、ていうか、あの居酒屋はわたしのバイト先だったのよ………
 
 どうやらバイト先でもたまにチェンジしていそうで…
 便利な切り替えをしているらしい。

 ……でぇ、その時に陰で見ていたわたしが遼くんを気に入っちゃってさぁ…
 それがきっかで、ううん、それでわたしが季に後押ししてさぁ、遼くんと付き合う様に推し勧めたのよ…
 だってさぁ…
 だってさぁ、そうすれば、季が遼くんと上手くお付き合い始めればさぁ…………

「絶対に、ぜぇったいに、間違いなくさぁ、わたしに泣きついてくるのがわかったからさぁ…
 それに遼くんはあの時既に季に夢中なのがわかったからさぁ…
 なんか今更、双子の妹ですってのもねぇ…」

「あ、えっ」
 オレはそんな望の話を訊いていて…
 ドキドキと心を高鳴らせ、昂ぶりを感じてきていた。



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