『春のうつろい』
第6章 春の雪
3
「っ………」
不意に、その指輪の無い左手指が、わたしの右手指に触れてきて…
「ぁ……」
そしてその彼の指先が、僅かに絡まってきたのだ。
「ぇ……」
その指先から…
また、再び、昔の、あの心を焦がした想いの熱が伝わり…
ドキンと、胸を激しく高鳴らせる。
ふと、窓の外を見ると…
春の淡雪が降り続き…
それはまるで…
前日までの乾いた空気を湿らせ、洗い流しているかの様に見えた。
「はーいっ」
また教室内に、子供たちの明るく、期待に昂ぶる声が響き…
わたしの心も震わせてくる。
そしてわたしは、何気なく彼を見ると…
あ…
その彼の目も…
期待に昂ぶる光を見せていた。
期待?
何の期待?
え、もしかして…
また、これから、期待してもいいの?
明日から…
ううん、今日からまたアナタに甘え、すがってもいいってことなの?
なぜかその彼の目を見ると、そんな淡い想いと期待が浮かんできてしまう…
今さら…
まさか…
そんな非現実的な甘い想いと、不思議な期待感。
なぜかわたしの心は…
この目の前の子供達と同じように、明日からの新生活の期待に昂ぶり、高鳴ってきてしまうのだ。
だって、それは…
「久しぶりだね」
彼は笑みを浮かべ、そう言ってきた。
「え、あ、うん、は、八年振りかしら?…」
「………」
そして、黙って頷く。
そう、八年振り…
そしてわたしは…
「ねぇ、アレが息子の慧よ…」
スッと指をさす。
「え…け、慧くん?…」
「うん、そう慧…」
「…け、慧っていうの?」
「……………」
わたしは黙って頷き…
彼の目を見つめ…
「ねぇ…」
「…………」
「ねぇ、うちの慧ってさぁ…
アナタに…
慧一さんに、似てるでしょう?」
わたしは、そう、小さく囁いた。
春の淡雪は、まだ静かに舞い続けている…
それは、消えたはずの過去のように。
『春の雪』終。
「っ………」
不意に、その指輪の無い左手指が、わたしの右手指に触れてきて…
「ぁ……」
そしてその彼の指先が、僅かに絡まってきたのだ。
「ぇ……」
その指先から…
また、再び、昔の、あの心を焦がした想いの熱が伝わり…
ドキンと、胸を激しく高鳴らせる。
ふと、窓の外を見ると…
春の淡雪が降り続き…
それはまるで…
前日までの乾いた空気を湿らせ、洗い流しているかの様に見えた。
「はーいっ」
また教室内に、子供たちの明るく、期待に昂ぶる声が響き…
わたしの心も震わせてくる。
そしてわたしは、何気なく彼を見ると…
あ…
その彼の目も…
期待に昂ぶる光を見せていた。
期待?
何の期待?
え、もしかして…
また、これから、期待してもいいの?
明日から…
ううん、今日からまたアナタに甘え、すがってもいいってことなの?
なぜかその彼の目を見ると、そんな淡い想いと期待が浮かんできてしまう…
今さら…
まさか…
そんな非現実的な甘い想いと、不思議な期待感。
なぜかわたしの心は…
この目の前の子供達と同じように、明日からの新生活の期待に昂ぶり、高鳴ってきてしまうのだ。
だって、それは…
「久しぶりだね」
彼は笑みを浮かべ、そう言ってきた。
「え、あ、うん、は、八年振りかしら?…」
「………」
そして、黙って頷く。
そう、八年振り…
そしてわたしは…
「ねぇ、アレが息子の慧よ…」
スッと指をさす。
「え…け、慧くん?…」
「うん、そう慧…」
「…け、慧っていうの?」
「……………」
わたしは黙って頷き…
彼の目を見つめ…
「ねぇ…」
「…………」
「ねぇ、うちの慧ってさぁ…
アナタに…
慧一さんに、似てるでしょう?」
わたしは、そう、小さく囁いた。
春の淡雪は、まだ静かに舞い続けている…
それは、消えたはずの過去のように。
『春の雪』終。
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