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第1章 佑希と亮



「亮(とおる)、また空けたの?ピアス」


大学のキャンパス。木漏れ日が程よく照らすベンチに座る、私と佑希(ゆうき)。
入れていた講義前、バイトが無い時にはこうしてふたりで時間を潰す。

「……ん」

さらりと耳許のピアスを撫でる様に触れる長い指先が痺れを呼び起こす。


「あ、痛かった?いい加減止めないとさ、酷くなるよ?」

「だいじょーぶ、だって。佑希は心配し過ぎなんだよ」

本当、目ざといなって思う。
両耳合わせて、10は越えてるピアスホール。

「初めて開けた時はさ、俺とお揃いのふたつだったのにね」

「そ、う……中卒の記念、だったかな?」

痛かった……耳も胸も、痛い。

上手く、はぐらかせただろうか?今、平気な顔を繕えているのか私?

本当はお互いの耳に刺し合ったピアッサーの感触さえ、忘れる事が出来てないんだよ。

佑希の方へ目線を動かせば、目を細めてあの頃を懐かしんでいるような笑み。
それは、私とは違う幼馴染みとしての思い出なのだろう。

真ん中で分けられた前髪はさらりとしたミルクティー色のストレート。耳の前に流れる毛先を追えば、私が開けたホール。
飾られた白銀は、光に反射していた。

「あれから、ハマったって事だよね?」

「そう。毎年2~3くらい?やっちゃってたかな」

「本当、ビックリした」

「痛々しいって?」

「違う違う、カッコいいなって思うよ。だけど……」

佑希から吐き出される言葉は本気なのか、よく分からないと思う時がある。
その度に、鉛のように身体が重くなる。

「佑希、聞こえなかった。何?」

「あー……うん、何でも無いかな」

「そ?」

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