もしも、
第4章 涙
悔しい。
あんなに競り合ったのに
結局試合に負けてしまった。
あたしのせいだ。
あたしがあんなに
不甲斐ないプレイをしたから...。
そう思うと、涙が止まらない。
誰も通らない通路のベンチで
ひたすら涙を流した。
そのとき、
ぽんっ と頭に手を置かれた。
「...へ...?」
誰かと思って、見上げると
「...なん、で...?
なんでここに...っ」
そこには、片思い中の彼がいた。
「お前が、
一人で泣いてるんじゃないかって。
心配になってさ。」
やめてよ。
今、そんなに優しい言葉聞いちゃうと
もっと泣きたくなる。
「いいよ、もっと泣いて。
お前はよく頑張ったよ。
悔しいなら、泣いていい。」
その瞬間、驚きでいつの間にか
とまっていた涙が
また、流れ出した。
「...っ...あたし、あたし...
すごく、...っ情けなかった...」
「そんなことない。
お前が一番、頑張ってたよ。」
「...でも...っ!」
「いーよ。なんも言わなくて。
俺の胸、貸してやるからさ。」
そう言って抱きしめられた。
あたしは小さい子供のように
泣き続けた。