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もしも、

第1章 怪我


「ほらーーーーー…よ」

そう言ってしゃがみこむ君。

「へ?」
「背中、乗れよ。」
「…///…や、でもーーーっ」
「じゃ、勝手に乗せる」
「え?ーーひゃっ」

勝手におんぶされてしまった。

「や…は、恥ずかしいよ…」

ちょっと抵抗してみる。

「ばかっ、落とすだろ!
怪我人は大人しくしてろ」
「…うん…」
「お前本当に大丈夫か?
思いっきり転けてたじゃん」
「だ、…大丈夫だよ」
「つか、お前熱くね?風邪?」

そう言っておでこに手を当ててくる。

「ひゃっ」
「ほら…やっぱ熱い」
「ちが…っ、風邪とかじゃなくて!」
「じゃあ、何だよ?」
「…何でも、ない…」


違うんだよ。
君が触れているから
君が優しいから
熱くなっちゃうんだよ。

君は鈍感だから
わかってないだろうけど…


…ちょっと、怪我しちゃって
ラッキー、だなんて
私 思っちゃってるんだから。

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