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お題小説第8弾『梅雨の暴走』

第1章 梅雨に濡れ…

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「ボ、ボクが洗濯物を、と、盗りましたぁっ…」
 
 この時、犯罪者の自白ってこんな感じなんだろうって…
 震える心の昂ぶりの中で、そう、ボンヤリと想い、浮かべていた。

「ふぅん…」

「ご、ごめんなさいっ」

「ふぅん、そうなんだぁ…」

「は、はい、じ、実は、あの夜………」

 ボクは必死に、言い訳をする――

 ―――あの夜は、台風並みに風が強く…
 バタン、カタン…
 という物音で、目が覚めた。

 ふと時計を見ると、午前二時過ぎ…
 そして、カーテンを開け、外を見ると、ヒラヒラと、隣の隔壁から揺れるナニかが…
 それはお隣の、取り込みしてない洗濯物…
 それが風に煽られ、隔壁に当たって音を立てていたんです。

 目を凝らして見ると、風に揺れているのは…
 お姉さんのストッキング。

 そしてバタン、カタンっ、物干しハンガーが当たり…
 ボクの心を、推してきたんです―――

「え、推してきたって…」

「え、あ、は、はい、そ、それは…」
 ボクは、もう素直に全部話そうと思っていた…
 だって、ジッと見つめてくるお姉さんの目は、怒ってはいなかったから――

 どちらかといえば、その目には…
 興味津々の色が浮かんでいたから。

 きっと、許してくれるだろう…
 だったら、素直に話しちゃおう…と。

「あ、は、はい、じ、実は…
 ボ、ボク…
 ス、ストッキングが…す、好きで…」
 初めて、他人にカミングアウトした。

「えっ…」
 重なる手が、小さく震えた気がした。

「ス、ストッキングが…
 お、お姉さんのストッキングが…」

「え…」

 やっぱり、マズかったか…

「あ…は、はい…」

「確かに…消えていたのはストッキングだけだったわ…」

「………」
 その声音は、なんとなくドライに聞こえ…
 
「てっきり風に飛ばされたのかって…」

「……」

 やっぱり…

「ふぅん…啓くんてさあ…」

 今度は焦燥の高鳴りが…

「啓くんてさあ…変態なんだねぇ……」

「……っ」

 ボクは、もう、終わった…
 せっかく、お姉さんと仲良くなれそうだったのに…

「ストッキングが好きなんてさぁ…
 変態よねぇ……」

 絶望感に陥っていく。

「あ、いや…」

「ふうん…でも……」

「え?」

「前の彼氏と…同じだわ……」

 それは奇跡の呟き――


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