
Dilemma
第2章 【過去一好きだった元カレ】
打ち合わせ中も意識しないように心掛けたが
終わって席を立った瞬間
「みずっ…成瀬さん、ちょっとだけ良いですか」
と呼び止められる
下の名前呼びそうになってるじゃん、アウトだよ
「先戻ってますね」と言った後輩ちゃんの顔が
ニヤけてる
「何?」
2人きりになったからタメ口になる
「約束通り、連絡先教えてよ」
「何で?別れたよね、私たち」
「うん、で、また出逢った」
「は?」
「俺はまだ納得してないよ、あんな別れ方」
「会社で話す事じゃない」
「だから会社以外で話したいから連絡したい」
「私は話す事なんてないよ」
「あの日から、俺は止まったままだよ」
「え…?」
再び目が合った
真っ直ぐ見据える目は、かつて、大好きだった目
失うのが怖くて自ら手放した
やめて、掘り起こさないで
葬ったはずの想いを今さらどうして……
「忘れる事なんて、出来るわけないだろ」
「忘れてよ……こんな私の事なんて」
「忘れようとしたさ、でもこの前再会した時、やっぱりずっと引っ掛かってたのは全部瑞希だったんだって……ちゃんと前に進みたいんだよ、俺も」
上手い事言って突き放せなくしないでよ
自分勝手で我儘な私に愛想を尽かしてたんじゃないの?
嫌われる覚悟で最低な自分を演じてた
「頼む、ちゃんと話し合おう?きっと誤解してる事もあるんじゃないかな」
あまり時間かけたくない
だから仕方なく「わかった」と連絡先を交換した
満足気に帰って行った
溜め息まじりに持ち場に戻ると
すっかり忘れてたがニヤニヤしている後輩ちゃんと
目が合った
しかも席は真後ろが神倉くん
絶対聞こえてる
「なーるせさん♪上原さんとはどういう関係ですか〜?めちゃくちゃ親密というか、お知り合いでしたよね?うふ♪」
「別に何も、顔見知り程度かな?」
「えぇ〜?そんな雰囲気じゃなかったですよ〜?」
「こーら、仕事仕事」
「はーい」
ヤバい、背中に凄い視線を感じる……
これは弁解すべき?余計に怪しい?
まだお試し期間なわけだし……

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