Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
晃の家の浴室は宵の家のそこと比べてずいぶんと広い。
それでもやはり、上擦った声や細かな息遣いは壁や天井に反響し、宵の耳に響いてさらに羞恥心を煽る。
宵は再び目を閉じたが、自分の声だけは防ぎようがなかった。
それが嫌で唇を強く噛みしめると、晃に唇を触られた。
「切れちゃうよ、そんなに強く噛んだら」
「……っ」
言葉と共に晃の吐息が頬にかかる。はっとして瞳を開くと晃の顔は宵のすぐ目前にあった。
涙の滲んだ瞳を正面から覗き込まれる。
晃は手の動きを早めながらぷっくりと膨れた宵の下唇を舌先でつついた。
キスではなく、ちろちろと舐められる。
押しのけようとする腕は軽くあしらわれ、晃は無言で手の動きをさらにはやめた。
「あ……あぁ!」
宵は大きく背をしならせて欲望を弾けさせた。
晃の手と腹に、どろどろと白濁を溢れさせる。
展望室からずっと煽られ続けたためか、いつもよりも強烈な快感が体中を駆け巡る。
とっさに顔をそらそうとする宵の顎を左手で掴み、晃は満足げにその顔を見つめた。
そして、宵の半開きの唇から零れる唾液を舌先で掬いとる。
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