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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


 晃は宵の頭の下に腕を差し入れ、その体をさらに自分の方へと抱え込む。

 わずかに宵が身じろぎしたが、起きる気配はなかった。

 怒涛のバレンタインデーも終わってしまい、それほど特別なことをしたわけではなかったけれど晃は充分満足していた。

 一緒に夜景を見ることができて、こんなふうに寝るまで過ごせるのだから。


(朝がちょっと怖いな)


 心の内でつぶやいて、苦笑を洩らす。

 朝目覚めたら、宵はなんて言って怒るだろう。手酷いプレイの仕返しに、手なり足なり飛んでくるのを覚悟しておいた方がいいかもしれない。


(まあいいか)


 そんなやり取りはいつものことだ。今さら気にするのもばからしく思えた。

 晃はすやすやと小さく寝息を立てている宵の額に一瞬だけの口付けをし、耳に唇を近付けた。


「おやすみ」


 囁いて、ベッド脇の灯りを消す。

 部屋は闇一色になった。

 そうして一ヶ月後のホワイトデーでは今度は何をしてやろうかとあれこれ考えながら、宵の温もりを両腕に抱えて晃も眠りについた――。


――END――

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