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Memory of Night 番外編

第4章 Episode of AKIRA


 陽も伸び始め、春の訪れを知らせるように暖かい、そんな日曜日。

 晃は宵を引き連れ、新しくできたショッピングモールを訪れていた。

 今は二人は三階にいる。

 中のほとんどの店舗は開店セールやらのイベントをしていて、建物の中は活気に満ちていた。

 色とりどりの服が飾られ、人も多い。

 ごった返す人混みではぐれないようにと宵の手を引き、晃は店内を見回していた。

 今日の目的は宵の春服選びだ。


「……つか、なんで俺の服をおまえが選ぶんだよ? 自分の買えよ」


 誘われるままにこのショッピングモールを訪れた宵だったが、よくよく考えれば変な話だ。

 晃本人の服が欲しいのなら付き合うけれど、そういうわけでもないのだと言う。


「俺はいいの、もう買ったし」


 それだけ答えて小さく溜め息を漏らし、晃は宵を振り返った。


「だって宵、服に関心なさすぎるんだもん。家じゃスウェットかティーシャツだし、外出る時も……スウェットかティーシャツかジーンズ。まったくどこのヤンキー? みたいな格好しかしないじゃん」

「ヤンキーって……」


 宵が軽く首をかしげて晃を見つめる。

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