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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


 ――二月十四日、バレンタイン。


「げっ……、なんだよこれ」


 吐く息が凍るような、朝。

 大河宵(タイガヨイ)は登校して自分の席を一目見るなり、頭を抱えたくなった。

 机の上にはチョコレートの山。様々な色や形にラッピングされた、いかにも手作り、と言わんばかりの品の数々がどっさり積まれていた。

 そのせいで甘ったるい香りが席周辺に充満し、軽く吐き気がしそうだ。


(忘れてた……。今日ってバレンタインだっけ)


 今さらそんなイベント事を思い出す。最近クラスの女子が妙に騒がしかったのは、このせいらしい。


「おーすごい。相変わらずモテまくりだな、宵」


 不意に隣から肩を叩かれた。

 振り向くと、クラスメイトの大山(オオヤマ)が関心したようにチョコレートの山を覗き込んでいた。


「……うっかりしてた。今日ってバレンタインだったんだな」

「忘れてたのか?」


 げっそりとため息を吐きつつ頷く宵に、大山は苦笑する。


「おまえ、去年誰からもチョコ貰わなかっただろ? せっかく呼び出したのに受け取ってもらえなかったーって女子たち嘆いてたぞ」

「だって俺甘いもん食えねーし」

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