All Arounder
第11章 High School Student
『…』
トボトボと階段を下りていく姫
何となく、敗北感がのしかかる
…あたし、部外者だもんね
大志はAll Arounderってこと、家族にも学校の人にも
誰にも言ってないんだ
その仕事のせいで全然学校に来れてないのに
それでも大志は、いろんな人に好かれてる
家族にも
友達にも
仲間にも
あたし…にも…
でもあたしは…何にも持ってない
家族も、…友達だって一人もいないし
第一あたしは…人形だから…
目の前がぼんやりしてくる
見えていたものがあっちこちにぐにゃぐにゃして
このまま真っ暗に
真っ黒に
染まってしまえば、あたしは楽だろう…な…
その瞬間、内臓が浮き上がるかのような感覚に襲われた
足を踏み外したと気づいたのはその後…
「姫!!!」
『!!!』
腕を掴まれ、階段から転げ落ちないで済んだ
ゆっくり上を見上げると、大志がこっちを見ていた
「勝手にウロウロすんな、馬鹿」
『…///』
腕を引っ張り上げられ、姫は足で立った
「うっかり死んじまってたらどうすんだよ…
30億かかってんのに」
『…ムカつく』
「あ?何か言ったか?」
『何も』
姫はお礼を言うことよりも、大志の態度に腹を立てた