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美空のぬいぐるみを取ったのは、こうちゃんか…



こうちゃんが、美空を泣かしたのか…




こうちゃんとは近所の男の子で、いわゆるがき大将だ





「こうちゃぁあーん!!!」




家の外から、大声でこうちゃんを呼んだ




しばらくすると、こうちゃんが扉を開けて出てきた




「あ、たいしだ」



「おまえ、みそらのぬいぐるみ、とっただろ。返せよ」



「もうないよ」



「は？」



「すてたもん」




大志は自分を抑え切れず、気がつけばこうちゃんを殴っていた



「返せ…」


「なっ…なにすんだよ!!」



また手が出た



「みそらのぬいぐるみ、返せよぉおおお!!!!」














こうちゃんの鼻から、血が出たと思った時には
こうちゃんはもう倒れていた



「いってぇ…」



大志は痛む腕をさすりながら、こうちゃんの家に入っていった





"すてたもん"





その言葉を思い出し、大志は家中のごみ箱をあさっていった




あちこちのごみ箱をひっくり返し、家の中はゴミで散乱していった




「…!!」




こうちゃんの部屋のごみ箱に、綿が見えた



急いで取り出すと、それはぬいぐるみの足だった



しかし、足しか連なって出てこない




ごみ箱の底を覗くと、もうすでにぬいぐるみはバラバラになっていた






「…」




大志は手を強く握った




悔しそうに下唇を噛む







ふと目に入ったのは、こうちゃんの部屋に置いてあったぬいぐるみだった




大志はそれらに、手を伸ばした