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All Arounder

第13章 Tear




その日はもう、一言も喋ってくれなかった



夕食の時も


ただの一言も…






「大志と何かあったの?」



『いいえ…何でもないです』




心配して聞いてくれたゆうひには、こう返事するしかなかった









大志と二人っきりになるのが、つらかった







『あたし…リビングで寝る』




小さく大志に伝えると、姫は毛布を抱えて1階へと下りていった


大志は、もちろん何も言わなかった










リビングに入ると、斉藤が夕食を取っていた


もう11時だというのに…





『…ずっと仕事だったんですか…?』




「お、姫ちゃん。
まぁな、こういう日もあらぁ」


口をモグモグさせて喋る斉藤は、どことなく可愛らしかった



『大変ですね…』



「馴れたら全部同じだ。
ごちそうさん」



斉藤は食器を片付け終えると、こっちを向いた




「どうした?」




『…何でも…なぃです…』




変に心配かけさせちゃダメだ…




「んなことねぇだろ」





斉藤は姫の前まで歩いてくると、優しくほほ笑んだ





「何かあったんなら、オッサンが話でも聞いてやんよ」




『何も…なぃですから…』











ずるい…







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