テキストサイズ

All Arounder

第15章 Jealous


『…』



大志が出て行ったあと、姫はテーブルに突っ伏したまま動かなくなった




「…姫ちゃん?」



井上は隣から、心配して声をかけた



『…』



返答はない




「姫ちゃーん」


体を揺すると、姫は力が抜けきったように、へなへなと井上にもたれてきた



ふわりといい香りに包まれる




「おーい、生きてるかー?」



『…死んでる』




井上は微笑し、姫の頭を撫でた




『…』



「ヤキモチ焼いてんの?」




『焼いてない…』




腕の中でぐだっている姫…



…仕方ねーな



「俺らもデートすっか?」



『…』



珍しく"しない"とは答えず、姫は井上の顔をじっと見上げた




『…何で?』




「大志の後、追っかけねー?」




姫はしばらく考え込むと、小さく頷いた




『わかった』



「マジ!?やった、そうと決まりゃー早速行くか!!」




井上は姫の手を引き、酒場を出て行く




「変なとこ連れ込むなよー…」


マスターが念を押したころには、もう二人はいなかった











ストーリーメニュー

TOPTOPへ