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All Arounder

第16章 Honest Feelings




「大志の女ってくらいだから、退斗は拒まれたんじゃないかぁ?」



「…」



「だって大志は一途そうだもんなぁ、お前さんと違って」




「…」




「でもその姫ちゃんって子、よっぽど可愛いんだろうな。
お前が惚れるくらいなんだから」



「…」




鉄ジイが話し掛ける度に、井上の頭は机に沈んでいった



「どうした退斗ぉー?」



「…」




完全にいじけちまったなぁ…


少々からかいすぎたか




ったく、メンタルの弱い奴だ





「なぁ、退斗?」



さっきとは違う、低く落ち着いた声で
鉄ジイは井上に話し掛けた



「…何だよ…?」



「お前さん、よっぽどその姫ちゃんって子が好きなんだなぁ」



「好きくねー…」





「…いくつになっても子供だな」




「ガキ扱いすんな…」





「退斗…」



鉄ジイは、井上の肩にそっと手を置いた

井上は顔を上げ、鉄ジイの顔を見る




「どうせ好きなら…とことん愛してやんな」




「…」




「大志がどうだとか、関係ないだろう。要はお前さんと姫ちゃんがどうなるかだ」




「鉄ジイ…」




「お前さんがそれだけ真剣に悩んでんだ…姫ちゃんって子も、わかってくれるさぁ
それに…」



「…」



「欲しいもんは、奪っちまいな。そっちの方がお前さんらしいよ」










…俺らしい?










「当たりめーだ、そうするつもりだったんだよ」




井上の微笑した顔を見て、鉄ジイも笑顔を作った







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