テキストサイズ

All Arounder

第22章 What Should I Do ?




その時、大志は腕を引っ張られた




「っ…!?」



引っ張ったのは斉藤で、ただ黙って大志の手を引き走った




なぜか今だけ



大志の殴っていた手は、止まっていた







煙から抜け、もう少し出たところで
斉藤は立ち止まった



そして大志の方を向く






親父…



とは、言葉に出せなかった






お互いに何も言えず、そのまま時間が過ぎていく





ただ
斉藤は下唇を噛んでいた



血が出んばかりの強さで、下唇を噛んでいた





「…口、切れちまう…」





ふいに大志が、そう呟くと



斉藤は大志を抱きしめた






「っ…!!」




「…」




「き…気色悪ぃんだよ…!!」




しかし、斉藤をどかせようとする手に力は入らなかった





「…大志」





小さな声で、斉藤は言った







「絶対にもう一度…家に戻って来い」







「え…」





斉藤はドンッと大志を突き放すと、未だに晴れない煙幕の中へと歩いていった





「…」





何で




親父はオレを見逃した…?











変な敗北感に襲われた










―――――――――――
――――――
―――






ストーリーメニュー

TOPTOPへ