All Arounder
第27章 Black Wing
「"いや"?ほんとにそう思ってんの?」
『思って…る…
やっ、やめ…///』
井上の舌が姫の唇を舐めようとした時だった
「何調子乗ってんだてめぇええ!!!!」
ドカッという音と共に、井上はぶっ倒された
「いっでぇえー!!!」
打ち付けた頭を抱えている井上の胸倉を、大志は容赦なく掴み上げる
「井上、姫に手ぇ出したらただじゃおかねぇって…言ったことなかったっけ?」
「だ…だって姫ちゃんは大志のもんじゃねーじゃんよ!!」
「そうですよ」
そう聞こえたかと思うと、姫の体がフワリと浮いた
『え…』
浮いた姫の体は、黒羽の腕に横抱きにされた
「これがほんとのお姫様だっこですね」
『く…黒羽ぁ!!///』
「てめっ…しょうもねぇシャレ噛ましてんじゃねぇ!!
姫を離しやがれ!!」
大志が飛び掛かってくると、黒羽はスッとかわした
「お嬢様、少し走りますよ?」
黒羽は姫を抱えたまま、階段を駆け降りていった
『やぁあああ落ちる落ちる落ちる落ちるー!!!!!』
絶叫マシーンにでも乗っているようだ
周りの景色はどんどん後ろへ吸い込まれていき、恐怖が風と一緒に運ばれてくる
姫は、無意識に黒羽の首にしがみついていた
「…///
そのままで…いてくださいね」
黒羽は微笑し、そっと姫の頭にキスをした