テキストサイズ

All Arounder

第28章 My Little Girl









大志、井上、黒羽の3人は黙ってソファーに腰を下ろした




「…姫ちゃん…こぇー…」



「ああ…怖かった」



「あんなお嬢様は初めて見ましたよ…」




ハア…と同時にため息を吐く




「なぁクロ…」



「何ですか?」



黒羽は大志の方を見ずに返事した




「姫の屋敷で働いてた使用人どもは、みんな西浦家の財産狙いだったけどよぉ…
何でおめぇは、そこまで姫に尽くそうとすんだ?」




「…気になりますか?」




「…少しな」



大志は後ろに深くもたれた




「どーせ、逆玉の輿狙ってんだろ?」



井上が嫌みありげに言うと、黒羽は微笑した




「…よく主従関係は…特別な絆で繋がってるとか聞きませんか?」




「さぁな」





「お嬢様と出会った当初は…彼女のことなど、本当にどうでもよかった…」



黒羽の顔からは、フッと笑顔が消え

どこか遠くをぼんやりと眺めていた





「…お嬢様に叱られたことですし…仕方ない、少しは仲良くしましょうか」



「言い方腹立つなぁ」




「俺だって嫌ですから…まぁ最低、名前でお呼びしますよ」




黒羽は大志と井上の顔を見て、手を出した



「…?」



「仲直りの握手です」



「…」




大志と井上は、やる気のないながらもしっかり握手した








「さて…ではお嬢様が起床なさるまで、無駄話でもいたしましょうか」



黒羽はポンッと手を叩いた




「別に喋ることなんてねーよ」



「とりあえず、聞いてくださいよ…」




黒羽は目を閉じ、ゆっくりと開けた








――――――――
――――
――




ストーリーメニュー

TOPTOPへ