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All Arounder

第28章 My Little Girl





キュッと

何か温かいものが、俺の体を包んだ





「お嬢様?」




頬にはサラサラとした髪が触れ
首の後ろに回った手は、必死に衿元を掴む





『黒羽…泣かないで…』






この少女は



俺の過去を知っているのか…?


いや、知っているはずがない




「…泣きませんよ」





その小さな体を丁寧に離すと、自分の半分ほどしかない手を包み込んだ





「ご心配かけて…申し訳ありません
しかし私は大丈夫です」





『ほんと?』





「ええ」





お嬢様…もしあなたが、そんなにも幼い方でなかったなら…





「ですから、おやすみなさいませ」





俺はあなたの前で




泣いていたかもしれません










――――――







パタン



扉を閉めると、不意に孤独感に襲われた




「…」





本当に、おかしな少女だ






俺が悲しい顔をした?



何がわかると言うんだ…




あんな少女に…何が…








『きゃああぁあぁあ!!!』




!!??




部屋から突然悲鳴が聞こえ、黒羽は急いで扉を開けた





「お嬢様!?
どうされました!!?」




慌てて姫に駆け寄ると、姫は取り乱したまま黒羽にしがみついた







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