All Arounder
第31章 Have A Gun
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「―――ってまぁ、そんな感じだ
くだらねー話に付き合ってくれてありが…」
振り向くと、井上はギョッとした
姫が
泣いていたのだ
「ひ…姫ちゃん…?」
『…退…斗ぉ…』
肩を上下させながら、声にもならない声を出して泣く姫の頭を
井上は優しく撫でた
「姫ちゃんが泣くようなことじゃねーだろ」
『だって…だってぇ…』
その綺麗な手は、涙を拭いきることができない
「泣くな…///」
ギュッと抱きしめてしまった
後先考えずに取った行動には
何度となく後悔させられたけれど
今だけは
どうしても、こうせずにはいられなかった
『ふぅっぐ…うぅ…えぇん…』
「ありがと…」
やっぱり
わかった
俺
こいつが堪らなく好きだ
「…ありがと…姫ちゃ…」
もし
いつまでもそばにいてくれるなら
俺…