All Arounder
第33章 Employment Test
いつも通り、その日も酒場で客を待っていた
「大志、久しぶりに勝負すっか?」
「は?」
「一流All Arounderの座を掛けてに決まってんだろ?」
すると大志の口元が持ち上がった
「久々だな、乗った。
まぁ結果は見えてるけどな」
「よく言う」
とその時
カランカラン
とドアの開く音がした
―――客!?
と、期待を抱いて振り返ったものの
それも一瞬で打ち砕かれた
大きな体
長い髪
短い手足…
「…こんにちは、…だるまさん」
――――――
「えーっと、本日はどういったご用件でしょうか…?」
井上は、大志の代わりに話を進めた
大志は隣で足をガタガタと震わせている
「あのねぇ…」
だるまの口が動いた
「あたしも、
All Arounderになりたいの」
「…え…?」
まさかの!!?
井上は大志の顔を見た
大志は一生懸命顔を横に振っている
「だるま、それは出来ねー相談だ」
「どうしてよ?」
「大志がめちゃくちゃ嫌がってるから」
「あ~ん大志ぃ、どうして~?」
だるまが大志に近づくと、大志は椅子ごとだるまから離れた
「もおっ、あなたたちそれでもAll Arounderなの!?」
!!??
だるまに痛いところを突かれ、井上も大志も言葉が出なくなった