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All Arounder

第6章 Expressionless Princess




『キス…しないの?』



「しねぇ」



『じゃあ、さらわないの?』



「さらう」



そうだ

今はベラベラと喋っている場合ではない


屋敷の人間がオレたちの侵入に気づく前に、
さっさと誘拐してしまわなければいけないのだ



「悪いが、来てもらう」



大志は西浦姫の手を取り、上体を起こさせた



『そしたらあたしは、殺される?』



まだ


顔色一つ変えやしない





「自分の置かれた立場、よくわかってんじゃねぇか」



『お父様が言ってたから…
ねえ、あんたは誰?』



「聞いてどうすんだ?」




『どうもしない』




どうも今日は


調子が狂うようだ




「All Arounderの、大志だ」




『All Arounder?
…何でも屋なの?』



「あ、知ってた?」



『聞いたことあるだけ』




ほら


声を聞いたらこんなに澄んでて



体を見たらついつい抱きしめたくなっちまうのに…



「そうかよ…」




顔だけは





人形のようだ















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