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All Arounder

第6章 Expressionless Princess


「もし…」


そう言い、井上は姫の顔を覗き込む


「もし殺されるってわかってんなら、どーする?」



その質問は

大志には酷に聞こえた




しかし姫は言ったのだ


『どうもしない』

と…





この女は


生への執着がないのか?




本当に


人形のような



姫…





「死んでも未練はねぇってことか?」


自分でも、一体何を聞いているのだろうか
と疑問に思った


しかしそれも

聞きたくなったから聞いただけだ




『未練…?』



そう



人形だとしか思えない姫が…






『未練なら…』






初めてそこで、何か温かいものをちらつかせたのだ




姫はそのまま黙りこくってしまった




大志は…



「井上、車」



「え、おぅ…」



それについては


何も触れなかった









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