All Arounder
第50章 Difference In Age
「…キスしてくれないんですか…」
動きを止めたまま、ゆっくりと目を開けると
美空は
まだその湿らせたままの目元を
俺に見せた
「…ちょっと、ついて来て」
美空の手を離させ、小泉は立ち上がった
不思議と今は
めまいも何も
邪魔をしてこなかった
美空も立ち上がり、
まるで雛が母親の後ろをついて歩くように
俺の後ろをぴったりとついて来た
向かった場所は
昼間に二人が出会った倉
中はもちろん、外も真っ暗で
小泉は壁伝いにたどり、電気のスイッチを入れた
数秒後、パッ…パパ…と明かりがつくと
美空は感嘆した
「わぁ…///」
棚という棚に
ずらりと並んだ花火
もう隙間もないほど埋め尽くされている
「これ全部…集めたんですか?」
「いいや、作ったんだ」
小泉は1番手前にあった花火を一本抜くと
美空に渡した
「どう?
ちょっと季節遅れだけど」
「やりたいっ」
美空が丁寧にその花火を受け取ると
二人は外へ出た
「美空ちゃん、花火はよくするの?」
「んと…最近はあんまり…昔はお兄ちゃんとよくやってました」
「へえ…大志と…」
そう呟きながら、小泉は懐からライターを取り出した