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「大志…」



井上は、撃たれた左腕を押さえながら
つい大志に見とれてしまった




その笑い顔…ヤベーよ



はは…ゾクゾクさせやがって…





大志は残り２人の男のうち、片方に近寄った


「く…来るな…!!」


男は銃を構えるが、大志はその筒先の部分を掴み
もう片方の手で腹に一撃を入れた


「かはっ…」


よろよろになった男を、もう一人の方に投げつけた


それを避けた男は、瞬間大志に殴り飛ばされた




『…』



姫の顔を、汗が伝った



なぜだろう



今まで感じていなかった感情が、一気に体中に吹き出てきたのだ




大志という存在が…恐怖、この二文字に思えた




自分が求める笑顔を、なんなく形にしている大志が恨めしかったが


その笑顔は自分が求めているものではない
…と感じ取ったのだ











酒場に残されたのは、矢車一人となった



「矢車さん…こいつらを連れて、さっさと出ていけ」


「…」


矢車は手をワナワナと震わせた


「…ここまで…来たのに…あと少しで…３０億…
み…」


矢車は、懐から銃を取り出し、姫に向けた




「見逃すはずがないだろおぉおお!!!」



「姫…!!!」





ダンッ