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狼と白頭巾ちゃん

第12章 約束

薄暗い森の中に、また2人は戻ってきた。

ただ、傍目にはライラの姿しか無く、1人で歩いているように見える。

実際には、ライラの前方の草木の中にはシンがいて、2人は楽しそうに喋りながら歩を進めていた。




「え〜。シン、ずっと私のこと見てたの〜?」

「そうだよ〜。あんまり楽しそうにしてるから、話し掛けられなかっただけで」

「やだぁ、なんだか恥ずかしい。ひとりではしゃいじゃって、私、バカみたいじゃない⁈」

前を行くシンらしき影に、ライラは不満を漏らした。

けれど、その言葉が真実不満では無いことは、彼女の明るい語気からも明らかだった。

不安な気持ちを、シンに一気に安堵感へと導かれ、彼女が自分で思う以上に、シンへの信頼感は増していた。

往き道はシンを呼ぶ以外口を開かなかったライラが、帰り道で嘘の様に饒舌になったのは、決して歩き方に慣れたからとか、満足いく花束が出来たから…などの理由よりも、やはりシンの存在に寄る処が大きいわけなのだが、ライラ自身が自覚していないものを、シンが気付くはずもなく…。

不満を言いつつ明るいライラに嬉しくなって、ついシンは、

「ふふっ、全然そんなこと無いよ。むしろとっても可愛かった」

…と、うっとり思い出しながら、言ってしまったのだ。

「えっ⁈」

その言葉を聞いた途端、ライラはびっくりして声を上げ、立ち止まってしまった。

「え?」

そんなライラの驚いた声に、今度はシンが驚いて彼女を見た。

すると…。

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