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狼と白頭巾ちゃん

第16章 あなたの隣で…

「すごい!すご〜い‼」


風を切って走るシンの腕の中で、ライラははしゃいでいた。


(まるで自分が風になったみたい!)


ライラを抱えながら、音も立てず滑るように走るシン。


みるみる変わる景色は、ライラが今まで体験したことのないもので、それは彼女の目を大いに楽しませた。


あっという間に花園から漏れる光が近づいて来て、ライラは少し残念な気さえしていた。



やがて、あと少しと云うところでシンはぴたりと走るのを止め、何故かライラを地面に下ろした。


ライラが不思議そうな顔でシンを見上げると、シンは困ったような、悲しそうな、そんな顔をして俯いていた。


「どうしたの?シン。あと少しで花園なのに…」

ライラが問うと、


「…ライラ、俺は臆病者だ」

「?」

「君が勇気を出して俺に『好き』だと言ってくれて、とても、とてもとても嬉しかったのに…。あの光の中で、君の目に俺の姿がどう映るか考えたら、怖くて……」


シンは俯いたまま、少し震える声で答えた。

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