テキストサイズ

君が欲しい

第10章 君の涙

帰りは三十分ほどかかるけど、夜風にあたりながら歩いて送った。


僕は言葉が出なかったけど、君は意外と平気で話す。


「ねぇ、お母さんは仕事?」


「お袋は俺が中2の時亡くなったよ。」


「ごめんなさい。」


「いいよ。気にしてない。」


まあ、確かに母親の存在がないから、君が不思議に思うのも仕方がない。


「お袋はシンガーだったんだ。」


「素敵!お父さんのピアノで唄ってたのね。」


「うん。」


生前のお袋をふと思い出した。


「うちはね離婚して母子家庭よ。」


「えっ?そうなんだ。」


最近、多いからあまり気にならないけど、ちょっと驚いた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ