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第11章 悪意の塊

「な、名取君!?」

思わず声を出すが、聞いてくれなくて
引っ張られる手首がジワジワと痛み出す
同時に恐怖と不安が私の中に立ち込めた。

怖い怖い……

足がガタガタと震え、名取の腕を離そうと私は抵抗していた。

「い、イヤっ!! は、離してっ……」

両足に力を無理矢理入れながら、踏ん張る私に名取の冷たく歪んだ顔が見えた。

「五月蝿い!! アンタに拒否権なんかないんだよ! いいから来いっ!!」

荒々しい声に身体が更に震え出す

それでも、必死に抵抗する私に名取は舌打ちしていた。

その瞬間……
強い力で叩き付けられた身体は、背中を木に押し付けられていた。尋常じゃない名取の目が私を狙う獣のようで、逃げ出す事が出来なかった

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