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第12章 絡まる鎖

人気の無い室内に入ると、パッと手を離した中垣は私の方を向いた。顔を見れば言いたいことが何となく伝わってくる。言葉を出すまえに、中垣が先に口を開いていた。

「はぁ、何やってんだよ……」

「…………」

呆れたような声に無言で俯く私に、問い掛ける声が届く

「なんて言って彼奴怒らせたんだ?」

「の、野原ちゃんと付き合っちゃえばって言いました……」

「はあ? 何でそんなこと言ったんだよ」

ガシガシと片手で頭を掻く中垣は、困り顔だった。私はカタカタと震える両手を胸の前に持っていき、言葉を紡ぐ

「本当にお似合いで、私なんか入れないと思ってて……
でも、言いたくて言った訳じゃないんです……」

「何だよ、それ?」

首を傾げる中垣に、私はグッと唇を噛み締めた。訳はいくらなんでも言えなくて、どう言ったらいいか分からなくなる。

その様子に、中垣はハァっと長い溜め息を吐き言った。

「あのなぁ、何でも溜め込むのは悪い癖だぞ。今回はお前が悪いし、長谷川だって色々と問題抱えてんだ。もうちょい、考えてだな……」

「そんなの、律が勝手にやってるだけで、私には何も話してくれないじゃないですか!!」

つい向きになり、怒鳴る私に中垣も怒鳴り出していた。

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