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第3章 影の存在と私達

どう足掻いても、無理なようで私は肩を竦め諦めて言った。

「律、あのですね…」

「何?」

「さっきの授業中ですが、数学の先生が睨んでましたよ…」

「あっそ、だから何だよ?」

「ですから、もう少し真面目に授業を受けてみてはどうです」

私の言葉に、周りがざわめき出す。それもそうだ、だって長谷川律に真面目にしたらと言えるのは私くらいだ。

私を睨む長谷川の口元が、一瞬だけニヤリと上がった。

「そうだな、聞いてやってもいいけど。条件がある」

「その条件とは何ですか?」

私が聞くと、長谷川は片手を前に出した。

「弁当渡すなら、考えてやってもいい」

「ダ、ダメです!まだ、三時間目ですし…」

「じゃあ、無理だ」

と頬杖を付き、前を向く。子供のような彼に振り回される私

駄々を捏ねる姿も好きだけど

思いながら、結局は

「分かりました…」

と言ってしまうのだ。

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