無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「田辺さんは存じてますが、黒田さんはまだお会いしたことないですね」

・・・数日前に、思わぬ形で会ったけどな。

「おや、黒田君はまだこちらに挨拶に来たことはないかね。まぁ、担当が違うから仕方ないか。今度会うかね？」

・・・直接会って、こてんぱんに口撃してやりたい気もするが。

「皆様の近況を少し聞きたかっただけなので・・・、それに会うなら、葛西さんの方か嬉しいですね」

・・・会わない方がお互いの為じゃねぇ、かな。

「嬉しいことを言うね、藤堂君は」

入口を経て、駐車場に止めてある本部長の社用車前まで、足が進む。

「皆様によろしくお伝えください」

上機嫌のまま、車に乗り込み、車の姿が見えなくなるまで見送ると・・・思わず愚痴が出た。

「・・・アイツの名前なんて聞きたくねぇよ、金輪際」