
君がくれたぬくもり
第28章 選択
その時。
「陽菜……悩むな。」
「え………」
背を向けて眠っていたはずの輝雄がこちらを向く。
「もう自分の気持ちに気づいてるんだろ?
それが陽菜にとって正しい選択だと俺は思うよ。」
「………。」
陽菜の……気持ち……。
「俺なら大丈夫だから。
陽菜の幸せが1番だから。」
「でも……っ」
輝雄はゆっくりと身体を起こすと、陽菜を抱きしめた。
「短い間だったけど、陽菜とこうして一緒にいられて幸せだったよ……。
俺はもう十分幸せだったから。
陽菜も自分の幸せだけを考えな?」
そう言った輝雄の顔は
今までで1番清々しい笑顔だった。
そして、1番陽菜の心をせつなくさせた。
