
君がくれたぬくもり
第50章 side千夏
お店に入った時
男の子の集団が手を振るのが見えた。
席に着いた時、目の前に座る男にあたしは一目惚れをした。
カラスみたいな真っ黒で艶のある髪の毛…
それに見合う整った美しい顔…
黒いTシャツからさりげなく出る綺麗な鎖骨…
みんなお酒を飲み騒いでるにも関わらず、彼だけは冷静で…
一目でピンときた。
あたし……
この人が好きかもしれない。
その感情は、もはや記憶の底から消えかけていた淡い初恋に似ていた。
結局その日は彼に話し掛けるタイミングを逃してしまったが、
後日、友達が彼のルームメイトという人に聞いてくれた。
彼の名前は松永 岳。
歳は四つ上の二十歳。
つい先日彼女と別れ、フリーになったらしい。
