
君がくれたぬくもり
第1章 出会い
「……死ぬな。」
岳はそう言って陽菜の頭を撫でた。
陽菜はその手を振り払い、岳を睨む。
その鋭い目は、しっかりと陽菜をとらえていた。
「……どうして助けたの?」
「………。」
「あの時死なせてくれたらよかったじゃん!!あんたのせいで死ぬ勇気なくなったじゃん!!」
そう…
この男が邪魔をしなければ陽菜はあのまま飛び下りて
あいつらを呪ったのに!!!
「…命を粗末にすんな。」
「うるさい!!!!
あんたにはわからないのよ!!
陽菜の気持ちなんて……ッ」
岳はそっと陽菜を抱き寄せた。
陽菜は岳の胸板を力いっぱい叩きつける。
その分厚い胸板は叩いても叩いてもびくともしなかった。
それが―――――……
石原 陽菜(ヒナ)と
松永 岳(ガク)の出会いだった。
