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恋のかたち

第4章 約束・・再新

車は五分掛からず駅前ロータリーの駐車スペースに停車した

男は運転手に優愛を預けるように、後部座席に座らせ、そのままドアを閉め

優愛だけを乗せた車は走り出した

よく考えられない頭で、状況を掴めないでいた優愛の思考も少しずつ働き始め、そして混乱した

「あっ!あのっ!あの人は?私をどこに?」
慌てて、離れた運転手に身を乗り出すようにして聞いた

「御自宅は?お送りいたします」
二十代後半に見える、きりっとした横顔の男性運転手が、丁寧に聞いてきて優愛は条件反射で答えた

「畏まりました。危ないので席にお掛けになってごゆっくりお過ごし下さい

前を向いたまま、柔らかな口調で言われ、渋々元居た席に座り直した

お尻の沈みに合わせて、固すぎず、柔らか過ぎないシートが心地いいと感じた

車で一時間弱の自宅まで、車内は無言のまま走った。

着いたと同時に運転手にドアをあけてもらい、納得行かないまま地に足を下ろした

見慣れた邸宅を前に、ドアを開けてくれた運転手を見てお礼を告げた

口調は優しいけど、にこりともしない運転手に、結局何も聞けず、走り出す車を黙って見送るしかできなかった

学校をさぼった挙げ句、特に彼の情報も、名前すら聞くことのできなかった事に悔しさが募った

明星学園で一つ年上・・分かったことはそれだけ・・あとは彼の指の感触と柔らかなムスクの香り

優愛は自分の身に起こったことを思い返して、赤面するのと同時に、下腹部あたりがキュッと疼くのを感じた

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