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第10章 case5 【私ヲ見テ】 1

ヒト科の動物じゃない訳だし、ネコ科の方がしっくりくるかも。

「はいはい」

調教師になった気分で、頭を優しく撫でると、ぶつぶつ何やら呟いてるものの、嫌がって手を払う、という事はしない。

表情は複雑そう・・・妙に笑える、と思うと自然と口角が上がる。

「押し倒すよ?」

不満顔の斎。でも目に力が無い。男の姿をした獣が不貞腐れている。それもまた、感情が外に現れているからか、人間臭く感じる。

「・・・面白いなぁ」

「絢乃・・・もう黙れ」

それ以上の口撃を、即座に口を口で塞ぐことで阻まれて。

「んっ」

主導権を取り戻すかのように、舌で斎の思う様に翻弄されていく。

いつも余裕そうな斎、なのだから、たまには・・・とは思うものの、結局は斎の手のひらの上、だったりするのかも知れない、と冷静に思いつつも、

深くなる口付けによる甘い誘惑に、目を閉じ、腕を同時に絡め、そのまま流されることにした。

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