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第19章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 1

---均side---

紫煙を燻らせる。

ちょっとした現実逃避。

「つくづく面倒な奴ら・・・」

とは面と向かっては、今現在言う心算はねぇが・・・。

一族側からみて例えると。

“姫”を“魔王”が攫って10日が過ぎ、事実上の監禁中。

“勇者”はしびれを切らして、屋敷の裏手にある、このちょっとした森っぽい所に俺を呼び出した。

樹がうっそうと茂り、昼間でも陽の光が落ちてこない、夕方の様な薄暗さと、何か澱んでいそうな空気をまとう、この森に。

普通の生徒は立ち入り禁止区域に指定されており、面白半分に入った生徒は大概、姿を消しているので、聡明な生徒たちは基本ここには立ち入らない。

『姿を消している』=『行方不明』=『多分“何か”の餌食になった』

“何か”については、推測は簡単だが、それ以上掘り下げない事にしている。

さて。

立ち位置が違えば、名称も替わるが、“姫”のポジションだけは替わりそうもない。今のところ。

ちなみに、“姫”は絢乃チャン。
“魔王”は斎。
“勇者”は・・・。

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