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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

「藤沢さん、未だここにいるんだ?」

昼の屋敷内探索中、廊下で思わぬ人に、会った。

というか“藤沢さん“って妙に懐かしい響き。この屋敷の中で、苗字で私を呼ぶ人は居なかったから。

斎は“絢乃“、均さんは“絢乃チャン“、的場君と永依さんは“姫様“で、

その他、屋敷で働く人たちは何故か、私を“お嬢様“と呼ぶ。

斎がそう呼ぶように指示したらしい。お嬢様、という身分でも柄でもない自覚はあるから、

少しくすぐったいというか、落ち着かないというか・・・。

で、目の前にいるのは、落合智明(おちあいともあき)。

宴の参加者で、あのオジョウサマの夫、という場所を獲得した人。

それがあのオジョウサマにとって、良かったのか悪かったのか・・・私には解らない。

「落合先輩は?」

一応、彼は先輩である。私が今現在学校に行って無かったとしても。

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