いつもそこには、君がいて
第2章 2 水曜日
スライサーの円い大きな刃を洗い終えて、バックヤードの掛時計を見ると、そろそろ夜7時になるところだった。
刃についていた一日分の干からびた肉片は、まだ湯気のたつシンクの底でくたくたにふやけている。
もう既に半分以上とれていた化粧は、この蒸気ですっかり落ち、ほとんどすっぴん。
いつもなら、午後一番でパートさんに洗ってもらうところなのだが、私のミスでそれができず、反省替わりに私自身が洗うことにしたのだ。
昨日の公休日、私は一日中異動のことや、三上さん、福田さんに言われたことを考えていて、何も手につかなかった。
まあ、端から見ればいつもの公休日となんら変わらない、なんにもしない一日だったのだけれども。
お酒を飲んでもなかなか寝付けず、深酒をした結果、遅刻は免れたものの二日酔いにはなったわけで、午前中は使い物にならないほどにボーッとしてて……