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完熟の森

第16章 別れと始まり

僕と雫は秋刀魚が焼けるのをしゃがんで見ていた。


雫は秋刀魚をウキウキした顔で眺めていた。


「俺、雫の傍にいたい。雫と笑っていたい」


秋刀魚を見ながら勝手にそう呟いていた。


「笑ってるじゃない。
いつも…千晶がいてくれたから私寂しくなかった」


雫は柔らかく微笑み僕の頬に触れた。


雫の目に僕が映っている。


雫が優しく僕を抱き寄せてくれた。


雫の優しい温もりに泣きそうになった。


同時に胸の鼓動が高鳴った。


「千晶…」


雫が僕の名を呼んだ。


心臓がきゅうっと収縮し苦しくなった。


だけど雫はニッコリ笑って、「秋刀魚ひっくり返して」と言った。


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