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完熟の森

第34章 守りたい

「小嶺家はもう私一人。全てを相続した私は、本家は壊してマンションにして売り、両親の思い出が詰まった山と森と家を守ってるの」


雫の守ってるモノはデカいと思った。


でも雫は華奢で小さくて不安定に見えた。


「雫…俺は大事なモノ守ってる雫ごと守りたい。

もう少し、待ってて。
俺、大人になるから」


雫は物凄く驚いた顔をした後、ちょっとはにかんだ顔をして小さく笑ってくれた。


「ねぇ、家って人が住まないと死んじゃうのよ」


と言った。


「じゃあ、戻ろうか」


僕は雫の手を握って微笑んだ。


「うん」


僕達は繋いだ手を離さないまま家へ戻った。


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