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完熟の森

第39章 甘える雫

その夜、制服が家にあったから帰らなければならなかった。


「明日は卒業式だから終わったらまた来る」


パーカーを羽織り、別れ際に目の前にいる雫の額にキスをした。


「ちゃんとキスして」


潤んだ瞳で上目遣いで僕を捉えた。


僕は微笑み雫の甘い唇に何度も熱くキスをした。


雫があんまり熱く求めるから、うっかり欲情しそうになった。


僕は慌てて理性を取り戻し、唇を離し雫を抱きしめた。


「また明日」


ようやく離れる事ができた。


ドアを閉める時の雫の切なそうな顔が、
僕にはちょっと後ろめたく感じるくらいだった。


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