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ファースト・ラブ

第3章 第2章~直の心~



「よーい………バンッ !!」

その瞬間、スタートブロックを思いっきり蹴って前へ飛び出した。心地いいそよ風がオレの体を包みこむ。
隣のレーンには、岩木 南先輩。オレは今、岩木先輩と2人で100mのタイムを計っている。
オレは岩木先輩の少し前を走っている。
しかし、オレはいつもここから岩木先輩に抜かれてしまう。


オレは岩木先輩にだけは負けたくない。絶対に負けたくねぇんだ。
理由はただ1つ。岩木先輩はたぶん、いや…きっと沙菜のことが好きだ。
しかも、岩木先輩は沙菜と同じクラスで今は席も隣だそうだ。そして岩木先輩と沙菜はお互いのことを下の名前で呼び合うのだ。
つまり、2人はとても仲がいいのだ……。
理由は以上だか、……えっ ?? なんでそんなに沙菜にこだわるかって ?? それは………


オレは、2年前からずっと沙菜が好きだからだ……。


そう思った瞬間、ビュン !! と勢いよくオレの隣で風を切る音が聞こえた。

……あぁ、またか…。ゴールまであと20mくらいのところだった。今日は、このまま逃げ切れるかもと、本気で思った。


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