トライアングル・ラブ -素直になれなくて-
第4章 涙
「…あんたと一緒にいるあの女、ウザイんだけど?」
誰だ…?
俺は歩みを止め、入口のドアの壁に寄りかかった。
「あの女睨んでくるわ、威嚇してくるわ、ムカつくんだよ!」
“ガシャーン”という音が倉庫から鳴り響いた。
俺はとっさに倉庫に踏み込もうとした。
「沙織の…沙織の悪口言わないで下さい!!」
その声にはやけに威圧感があって…アイツがどれだけ“沙織”のことを大事に思っているか伝わってきた。
俺は何故か入るべきではないと感じ、踏み出した足を戻した。